下の記事で書いたように、一般的にエネルギーが保存する(物体の運動の前後で、総エネルギー量が一定になること。)には、運動エネルギーと位置エネルギーだけでなく、「捻じれエネルギー」が必要です。
◇現代物理学が主張する「エネルギー保存則」が成り立たない数学的根拠。
現在のエネルギー保存則は、変化する加速度により生じる、「捻れたエネルギー」を考慮しておらず、等加速度という「限定的」な場合でのみ成り立つ保存則を、常に成り立つと考えてしまっています。
従来の物理学においては、運動エネルギーと位置エネルギーが保存する(その和が常に一定である。)ことは、運動方程式から導かれ、自由落下(物体が鉛直下方向に落下する運動)する物体や、斜面を転がり落ちる物体などの場合によって、説明されます。
以下、その説明を引用します。導出の過程において、運動方程式の加速度\(a\left(=\frac{d v}{d t}\right)\)と重力加速度 \(g\)が一定であることを確認出来たら、適宜、読み飛ばしてもかまいません。
—————–(以下こちらより引用)
力学的エネルギー保存の法則は運動方程式に \(v\)(※註:速度) を掛けて時間で積分すると得られます。
〈中略〉
力学的エネルギー保存の法則
運動エネルギーに \(v\)をかけて積分する
運動方程式
$$m \frac{d v}{d t}=F$$
の両辺に速度 \(v\left(=\frac{d x}{d t}\right)\) を掛けて \(t\) で積分すると、
$$\int_{t=t_1}^{t=t_2} m v \frac{d v}{d t} d t=\int_{t=t_1}^{t=t_2} F \frac{d x}{d t} d t$$
見やすさのため、左辺と右辺を別々に計算を進めます。
$$ 左辺=\int_{v_1=v_1}^{v=v_2} v m d v=\frac{1}{2} m\left[v^2\right]_{v_1}^{u_2}=\frac{1}{2} m v_2^2-\frac{1}{2} m v_1^2 $$
$$ 右辺=\int_{x=x_1}^{x=x_2} F d x=W $$
ここで、変数変換に於いてはそれぞれの添え字に対応する変数名に変換しています。また、\(W \) は外力 \(F\)がなした仕事です。よって、次の力学的エネルギー保存の法則が導かれます。
$$ \frac{1}{2} m v_2^2-\frac{1}{2} m v_1^2=W $$
これは、なされた仕事の量だけ運動エネルギーが増加するということでありまた逆に、運動エネルギーを持った物体は仕事をすることができる、ということでもあります。
〈中略〉
重力の位置エネルギー
重力が行った仕事で定義する
重力は \(F=−mgF=−mg \) なので、高さ \(h \) から \(O \) まで落下することを考えると、重力が行った仕事は
$$ W=\int_h^0(-m g) d x=-m g[h]_h^0=m g h $$
となるから、
$$\frac{1}{2} m v_2^2-\frac{1}{2} m v_1^2=m g h $$
このとき、もともとあった \(mgh \)は位置が持っていた潜在的なエネルギーととらえ、位置エネルギーと言います。また、潜在的な、は英語でポテンシャルというため、ポテンシャルエネルギーとも言います。
重力の位置エネルギー: \(mgh \)
実は等加速度運動の公式と同じ
さて、ここで式(1)を見てピンときた人は鋭いです。【等加速度運動の3公式】微分積分を用いて導出し、完全理解の3つ目の公式に近い形をしていますね。実際、両辺に \(2\) を掛けてさらに \(m\) で割り、さらに重力加速度を \(a\)と、高さ \(h\) を \(s\) と書くと式(1)は
$$ v_2^2-v_1^2=2 a S $$
となり、等加速度運動で出てきた公式が得られました。つまり、加速度 \(a\) で等加速度運動をしている物体の問題を扱うときには、それは重力加速度が \(a\) の世界で力学的エネルギー保存の法則を用いて問題を解いているのと同じことをしている、ということを表しています。
—————–(引用ここまで)
ここまで見てきたように、自由落下の場合は重力加速度 \(g\)、運動方程式の場合は加速度\(a\left(=\frac{d v}{d t}\right)\)と、それぞれ加速度は一定で変わりません。
つまり、加速度の変化を考慮しない運動方程式から導かれる、従来のエネルギー保存則とは、「等加速度」の場合のみ成り立ちます。
このように、日本の高校や大学で教えられている”現代物理学”は、この従来のエネルギー保存則を、全般に当てはまる概念として信奉しています。またこれ以外にも、嘘偽りを多く含んでいるため、”現代物理学”を学んでも、新しい発想や新しい閃きは生まれません。
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次回の記事では、加速度が変化する場合を考慮すると、従来のエネルギー保存則が成り立たないことを、実際に数式で見ていきます。お楽しみに。
お読みいただきありがとうございました。
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