今回は、硬くて頑丈な木材の構造に、現代の建築やゴルフ用品に使われるような高度な技術が隠されていたので、紹介したいと思います。
ご参考までに、木材のほとんどは木材を構成する細胞の細胞壁成分であるといわれています。細胞壁成分は大きくセルロース、ヘミセルロース、リグニンという3つの成分からできています。そして、その約50%は多糖類のセルロースが占めています。
細胞壁は、薄い層と厚い層の2層に分かれています。それぞれ一次壁と二次壁とよぶのですが、二次壁はさらに内層と中層、外層の3つの層に分かれます。では、二次壁の層はどのように分けられるのでしょう。
それはセルロース結晶の向きによるものです。3つの層ではそれぞれ異なる向きに、セルロースの結晶が揃っています。そうして、網目のようにセルロースが配置され、さらにリグニンやヘミセルロースによって補強されることにより、細胞壁の強度が保障されます。
では、以下の記事をご覧ください。
———————(こちらより転載)——————————
木材の細胞は、もちろんその材料の中心が、光合成の産物、炭水化物です。そしてその細胞の壁は、炭水化物の高分子化したセルロースがよりあわさった繊維束(ミクロフィブリル)でできています。その壁の構造が神業としか思えません。
下がその細胞壁の模式図です。
大きくは一次壁と二次壁に、そして、そのうち二次壁は外層、中層、内層の三層をなしています。合計四つの層となった細胞壁は、複雑な構成をもっています。
最内層の繊維はヨコ、つぎがタテでややねじれるように、その外側がまたヨコ、そして最外層が全体をしめつけるように網目になっています。とくに内から二層目、二次壁中層の繊維がタテ状にもっとも厚くならんでいるために垂直の力に対して強くなっています。
このセルロースの束を、ヘミセルロース、リグニンといった、いずれも高分子の物質でぬりかためています。コンクリートにたとえれば、セルロースが鉄筋、ヘミセルロースが鉄筋をむすぶ針金、リグニンが生コンにあたるといえます。
この木材の繊維がよりあわさった状態を、ヘリカル・ワインディング構造といいますが、少ない材料で強い構造をつくるうえで、もっとも理想的だと専門家はいいます。ゴルフクラブのカーボン・シャフトなどは、この木材構造をまねているそうです。
樹木は、水と二酸化炭素という、ごくありふれた液体と気体からこんな比強度では鉄より強い構造体をつくりあげたのです。この軽くて強い木材は、建材などにも最適です。
これもほかの自然への驚きとおなじく億年という「時間」がつくりあげてきたもの。樹木たちは、陽光をおおくうけとるために葉をできるだけ高くもちあげたいという一心から、長い時間をかけた結果としてこのような高度な工夫をしてきました。
その神業としかおもえない業(わざ)に感嘆おくあたわずといわずしてなんといえるでしょう。
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現代の人類が用いているような技術が、樹木の細胞壁の構造に見られるというのは非常に興味深いですね。
ご覧いただきありがとうございました。
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